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 これまで、望遠鏡でピントを合わせるためには、デジイチのライブビュー画像を見ながら手動で行っていました。しかし、シンチレーションが悪い日本では、この方法では、合わせたつもりでも、意外にズレていることがありました。
 
 もっと前の、銀塩時代でのピント合わせは、更に難しいものでした。カメラの蓋を開けて、そこにナイフエッジテスターを付けてピントを出す方法、同じくそこに光学磨りガラスを置いて、ルーペで拡大して行う方法などがありました。結局、私は、後者で行っていました。折角しっかりピントを出したと思っても、現像してみたら、徹夜で撮影した星雲星団が、全部ピンボケだったと言う、悲惨な結果になった事もあります。そもそも、電動フォーカッサーもありませんでしたので、ピントノブを回す度、星が、ビヨーン、ビヨーンと動くので仕方がなかったのかも知れません。
 
 その後、画期的なアイテムが出現します。「バーティノフマスク」です。私は「高橋製作所のTOA130S」なる口径13cmの屈折望遠鏡で初めて使いました。「おお、こんな便利なアイテムがあるんだなぁ。」と感動したものです。
 
最初に購入したのが「ケンドリック社のバーティノフマスク」です。色は黒く、表面はざらざらしたものです。
 
これは、空が悪い状態の時に撮影したものですので、ボケた画像になっていますが、3本ずつの光芒が2箇所に出ます。この3本の光芒の間隔が一定だとピントが出ていることになります。この写真では、光芒の間隔がまだ一定になっていないので、ジャスピンではないですね。
 
これは、バーティノフマスクで撮った画像を「ピントエイド」なるアプリ(私は無料版を使用。)で解析したものです。右の「0.1」と表示されている数値が低いほどピントが合っていることになります。しかし、これには、ピントゲージを使ってピントをずらしながら、撮影してピントを確認する必要があったので、面倒臭くて使わなくなりました。ジジイは、簡単が一番。
 
次に、ウィリアムオプティクス社のクリアタイプのバーティノフマスクを購入しました。こちらの方が、光芒がはっきり見えますので、分かりやすかったです。(現在は、ケンドリック社も半透明のものを販売しています。)
 
自分で撮った写真を吹っ飛ばしましたので、協栄産業さんに載っていた、通常のバーティノフマスクと、クリアタイプのバーティノフマスクでの見え方の違いです。クリアータイプの方が、光芒が長く、更にはっきり見えます。
 
 てな事を書いていましたが、ウィリアムオプティクス社のクリアバーティノフマスクを使った時に、何故かかなりピントがズレて星が写ったことがあり、不安なので、それ以降あまり使わなくなりました。と言うか、その後「ZWO社ASI AIR Plus-256G」と「同社のEAF電動フォーカッサー」を使うことで、ほぼオートフォーカスでピント出しをすることになったからです。しかしながら、オートフォーカスには、それなりの時間がかかりますので、ちゃっちゃっとピントを出したい人は、バーティノフマスクをと手動でピント出し下方が早いでしょうね。
 
 実は、バーティノフマスクを自作するためのアプリが無料で公開されています。友人のグビタ氏や「よなご星の会のM氏」は、このアプリを使って、厚紙などで自作して使われています。(確か、私も作った記憶があるのですが、紙製なのが不安で使わなかったと思います。)
 

https://satakagi.github.io/tribahtinovWebApps/TriBahtinov_symmetric.html
 
 以上が、作成アプリのURLです。

 
 
そのアプリを使って作画したものの一つです。割とオーソドックスな形状です。
 
こんな異なった形状のバーティノフマスクも出来ます。
 
 しかし、私は不器用なのと、紙で作ったものは、直ぐに劣化したり、移動中に潰してしまう可能性が高いと思って、自作はしていません。
 
上記の様に、バーティノフマスクは、いろいろな形状のスリットのものがあります。ある方のブログでは、あまりピントが分からない形状のものもあるとか・・・
 
 
 
 話が変わりますが「高橋製作のμ250CRS」と言う「コレクティッド・ドール・カーカム式望遠鏡」を、2019年8月29日に購入しました。
 この鏡筒は、4本のスパイダーが付いているので、そのままでは、輝星から強烈な十字の回折光が出ます。星らしく見えるので、ある意味良いのかもしれませんが、この回折光が邪魔になることもしばしばでした。「折角の星雲に回折光が写り込んでいるぅー。」てな感じです。
 
こんな感じで4本の回折光が写り込みます。この回折光は、ピント出しにも有利でした。尚「高橋製作のμ250CRS」には「Active Focuser」なる電動フォーカッサーが付いていますので、デジイチをメインで使っていた頃には、セミオートフォーカスでピント出しをしていました。
 
 その後「StarWorksのバイナリー・ホログラム・アポタイザー」の事を知り、購入しました。これを副鏡のスパイダーに装着することで、強烈な回折光が抑えられました。しかし、その反作用というのか、ピントの位置がもの凄く分かりづらくなりました。
 
これが「StarWorksのバイナリー・ホログラム・アポタイザー」を4本のスパイダーに装着した写真です。
 
サイズの小さい「ウィリアムオプティクス社のクリアバーティノフマスク」を試してみたことがありますが、結果は、うーむ・・・でした。
 
 そこで、何とかピント出しの良い方法がないかと、四苦八苦しました。「N.I.N.A.」なるフリーソフトを使えば、オートフォーカスも出来ることが分かりましたが、イマイチ理解出来ない事が残ったことと、やはりパソコンを出すのが面倒くさいとおもって、導入を諦めました。
 
 そんな時、ネット検索をしていると「トライバーティノフマスク」が良さげであると知り、シュミットさんから購入しました。
 
しかし、シュミットさんから販売している一番大きなものを購入しましたが、サイズはやはり小さかったようです。
 
光芒の間隔が、イマイチ一定の間隔になっていないのです。これは、サイズが小さいことと、トライバーティノフマスクが微妙にチルトしていたことが原因かと思っています。それでも、今までは、何とかピントが合っているように思っていました。
 
 μ250CRSは、私がアホな事に、主鏡を洗浄と光軸合わせに大失敗して、1年1ヶ月メーカーさんに入院する羽目になりました。
 ようやく返ってきたこの鏡筒に、サイズの小さいトライバーティノフマスクを付けてピント出しをしたところ、ピントがズレていることが多くなりました。原因は、サイズとチルトかなぁ?
 
 そこで、ヨドバシカメラからサイズの合いそうな大きな「トライバーティノフマスク」を購入しました。販売元は「ASTRO STREETさん」です。
 
こんな感じですね。スリットが入っている部分は25.5cmほどありますので、多分丁度良いサイズだと思います。
 
上記のサイズの合っているマスクを装着して「ZWO社のASI AIR Plus-256G」のフォーカスモードで撮った写真です。光芒の間隔は、ほぼ一定になっていました。よっしゃー、これなら行けるどー。
 
上記の状態で、星を撮ってみました。おお、ピントが合っているようですね。4本のスパイダーによる強烈な回折光が出ていないのは「StarWorksのバイナリー・ホログラム・アポタイザー」を装着しているためです。しかし、輝星は、まん丸にはならなく、写真の様な少々いびつな形になります。
 
同じ写真の右上の端の方のピクセル等倍写真です。まあ、シンチレーションが悪い夜でしたから、この程度なら許せる範囲です。暗めの星は、回折光が写らなくなります。これにより「StarWorksのバイナリー・ホログラム・アポタイザー」は実用出来る範疇だと思っています。