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2023年10月13日のものを追加しました。
 
 
 以前、ネット検索をしていましたところ、この「バイナリー ホログラム アポタイザー」を知りました。しかし、その時は「えー?ホンマかいな。こんなんで、反射望遠鏡のスパイダーの回折光が軽減出来るのか?」てくらいにしか思っていませんでした。
 
 しかし、2023年9月22日に、何のきっかけだったかは覚えておりませんでしたが、再度、この「StarWorks ROSSAMさん」のHPに載っている「バイナリー ホログラム アポイタザー」のサイトにたどり着いてしまったのです。
 
 アポタイザーは、「StarWorks ROSSAMさん」のHPによりますと
 
 【光の波長の位相をシフトすることで、従来消すことは不可能と思われていたニュートンやカセグレン反射ゲートウェイの副鏡固定スポークから発生するスパイクが防げるようになります。
最大値と最小値を重ね合わせるこのバイナリーアポタイザーの技術は、さらに改良がくわえられ
 「なぜ望遠鏡メーカーはこれを採用しないのだろう」という意見さえあるスグレモノです。スパイダーのスパイクを消し、屈折望遠鏡のように星が丸く見えるようになります。
 迷光も減り、その分、今まで見えなかった部分や、近づいた二重星などの恒星が見えるようになります。回折リングの影響で起こる分散を30~50%改善するため、無装着と比較してコントラストや解像をより改善します。 特に写真撮影ではスパイダーの回折が消えます。】てなことでした。
 
 
 以下の写真は「StarWorks ROSSAMさん」のHPから拝借したものです。
 
これは、人工輝星を使った比較写真です。4本のスパイダーのある反射望遠鏡では、左の写真の様に回折光が4本発生してしまいます。しかし、アポタイザーを使用すると、回折光は軽減され、右の写真になるとのことでした。
 
こちはら、μ250(CRSではなさそう?)で撮られた写真です。確かに、回折光は殆ど分かりません。
 
「バイナリー ホログラム アポイタザー」は、この写真の様に、スパイダーに装着します。スパイダーが鉄製ならマグネットで、アルミ系の金属で出来ていれば、粘着テープで固定します。
 
 しかし、本当に、こんな装置で、スパイダーによる回折光が軽減出来るのか?また、年金生活となった今、こんな無駄遣い?をして良いのか、悩んでおりました。
 しかし、物欲のカタマリと化したアホ衛門は、「StarWorks ROSSAMさん」に確認のメールを送った上で、注文を出してしまいました。私が使っている、高橋製作所のμ250CRS(ミューロンと呼びます。)用の、アポタイザーは、オーダーメイドとなるため、少々の時間が必要とのことでした。価格は、本体7.500円、送料500円の、計8.000円でした。
 
 商品は、10月1日に「クリップポスト」なる形態で、ポストに投函されていました。ありゃ、結構早かったなぁ。
 
こんな包装で投函していただきました。
 
アパタイザーは、厚みのある合成樹脂製で、4本入っていました。
 
スパイダーに貼り付ける為の、アクリル樹脂テープが2枚入っていました。これは、予備も含めたもので、十分すぎる大きさでした。
 

 2023年10月2日に、作業開始です。
 
 しかし、アクリル樹脂テープは、厚みがあり、柔らかいので、カッティングの時から往生こきました。μ250CRSのスパイダーの厚みは2mmとのことなので、カッティングを2mm以下にするのか、あるいは2mm丁度にするのかがまず問題でした。結局、定規と細い油性マジックで2mm丁度に印を付けました。さすがに、2mm以下にすると固定力が心配でしたからね。
 しかし、何故往生こいたかと言うと、アクリル樹脂テープは厚みがある上、とても柔らかいのですからね。最初は、チタンを使ったハサミで切ってみましたが、樹脂の部分が、まるで歯磨きチューブを押すように、ビヨーンとはみ出して伸びてくるのです。ならば、カッターではどうぢゃ?と試してみましたが、こっちの方が押しつける力が強いので、更にビヨーンと伸びまくります。
 何とか、アポタイザーに、その樹脂テープを貼り付け、伸びた部分はハサミで切り落としました。
 そして、スパイダーに張り付けです。しかし、これが、樹脂テープが厚みがある上、柔らかいので、アポタイザーが、微妙に斜めになっています。ある程度修正しましたが、どうしても若干斜めになっている気がします。また、スパイダーの厚みが2mmしかないので、
 
 撮影中に落下する可能性が充分にあり得ると思えました。そこで、アポタイザーの形がおかしくならないように注意しながら、黒い木綿の糸で1箇所ずつ締め付けておきました。
 
四苦八苦して、高橋製作所のμ250CRSに、アポタイザーを取り付けて写真を撮りました。(写真を入れ替えました。)
 
 2023年10月2日に、あまり減光しない「IDAS社のHEUIB-Ⅱフィルター」を付けてテストをしてみました。撮像カメラは「ZWO ASI 2600MC DUO」です。
 
 まず、最初に感じたのが、スパイダーによる回折光が、かなり軽減されたので、ピント出しが、かなり難しくなったと言う点です。
 
 これは、ピント位置が最適ではないことが分かっていながら撮った「さそり座のアンタレス」です。スパイダーによる回折光は大幅に軽減されていますが、アンタレスの周りにハレーションが盛大に写り込んでいます。原因は、アポタイザーではなく、「IDAS社のHEUIB-Ⅱフィルター」による反射光だと思われます。部屋の明かりが入り込んだのか、そもそも、この位置に52mm径のフィルターを装着することに無理があるのかは、まだ不明です。(思い出しました。過去に同じフィルターで試したときには、こんなハレーションは写っておりませんでした。部屋の光が入り込んだのか、あるいは、CMOSカメラがわずかに結露していたことも考えられます。)
 この後、あっという間に、雲に覆われてしまい、テストを断念せざるを得ませんでした。
 
これは、以前に撮った星です。何を撮ったかは、忘れてしまいました。トホホ。普通に撮れば、4本のスパイダーの影響で、4本の回折光が写りますよね。
 

 
 実は、2023年10月2日、曇ってしまい諦めたテストですが、空の状態が悪いながらも星が出てきましたので、テストを再開しました。
 
 
 これは「ZWO ASI AIR Plus」からピント出した「ほうおう座のα星アンカア」の星像です。2.4等星です。ノーフィルターでの撮影です。
 「ZWO ASI AIR Plus」の「Focusモード」を使いますと、明るめの星では、ピントの位置が殆ど分かりませんでした。たまたま、適度な明るさの星が視野に入っていれば、何とかなりそうでしたが・・・今回は「Previewモード」で時間をかけながらピントを出しました。
 
上記の写真をトリミングして、少し画像処理しました。輝星から発生する回折光はかなり軽減されているのが分かります。しかし、屈折望遠鏡など、副鏡の遮蔽がない星像とは、異なり、まん丸にはなりません。それでも、対象物によっては、大変助かる結果だと思います。
 
これは、2014年に、岡山県の美星町撮った馬頭星雲です。TOA130Sと言う屈折望遠鏡で撮っていますので、当然のことながら、回折光は発生しておりませんが、このように、対象物の中に、輝星がある場合は、アポタイザーの効果が発揮されると思います。
 
こちらは、NBZフィルターを装着後、アポタイザーも装着した画像です。3等星の「水瓶座のα星サダルメリク」です。濃いフィルターであるうえ、この日の天候は芳しくなく、よりピントの位置が分かりづらくなります。従って「PlateSolve」も、ある程度までしか機能せずに、何度トライしても、視野の真ん中に導入出来ていません。更に、最初は「ZWO ASI 2600MC DUO」のガイドチップで何とかガイド出来ていましたが、多分薄雲と月明かりの影響で、オートガイドが出来なくなりました。そこで、ガイド鏡(高橋製作所のFC60)を使ってオートガイドをしました。
 
上記の写真をトリミングして、少し画像処理をしてみました。やはり、少しピントがズレているようです。しかし、回折光はかなり軽減されていますね。
 
 この日は、空の状態が悪かったため、うまく写せませんでした。これは「ドクロ星雲」をNBZフィルターを付けて撮ったものです。撮像カメラは「ZWO ASI 2600MC DUO」です。ゲイン100、露骨は600秒です。この辺りは、輝星がないため、アポタイザーの恩恵は、あまり感じられませんでした。
 
これも、同じ日に撮ったNGC7293です。これも、空の状態が悪かったので写りがとても悪くなっています。こちらも、近くに輝星がないため、アポタイザーの効果はあまり感じられませんでした。
 
これは「ちょうこくしつ座の「NGC253」です。これも、上の2枚の写真と同じ感想となります。
 
 以上が、2023年10月2日から3日にかけて行ったテストの結果です。空の状態が悪かったので、まだ適当な感想となってしまいました。
 
 ①スパイダーによる回折光は、かなり軽減されていることが分かりました。但し、当たりませですが、暗い星にはあまりその恩恵は感じられませんでした。
 
 ②回折光が軽減されるので、それを頼りにピント出しをしていたため、逆にピント出しが難しくなりました。これは、慣れが必要かも知れません。
 現在のところ「ステラショット2」が「ZWO ASI 2600MC DUO」に対応していませんので「高橋製作所のFocus Infinity」と連携してセミオートフォーカスが出来ません。しかし「Focus Infinity」は「SharpCap」と連携してピント出しが出来る様なので、今後試してみたいところです。
 まあ、「MaxImDL」をお使いの方はその心配は要らないでしょう。でも、アホ衛門は、もうジェニもないし、オツムがアホアホなので、導入は致しません。
 
 ③二重星や惑星の見え方も良くなるとかかれていましたが、今回は、テスト出来ませんでした。これも、今後の課題です。
 

 
 2023年10月12日から13日にかけて、久しぶりに、鳥取県の鏡ヶ成近くに遠征しました。(ちゅーても、片道40km未満ですが。)
 
 その結果ですが、この装置、効果ありでした。
 
これは、2020年4月29日に、同じ場所から、SEO COOLED 6Dクリアタイプ 冷却あり、+IDAS「HEUIB-Ⅱ・QRO玄天52mmフィルターで撮った「NGC 6960」です。中央の輝星には、スパイダーによる回折光が出ています。更に、その輝星の右上には、フィルターの反射光と思われる緑色のゴーストが写り込んでいます。
 
 これは、2023年10月13日に、空の状態が悪い状態で、しかも、低空で撮った同じものです。回折光がかなり軽減されています。(ZWO ASI 2600MC DUOで撮影。サイズはAPS-Cとなります。そのためか、周辺減光も、少なくなっています。)
 しかし、回折光を頼りに、ピント出しをしていたので、ピント出しに苦労することになりました。
 
 
上記の写真をトリミングして拡大してみました。下のアポタイザーを付けている方が、回折光がかなり減少していることが分かります。ただ、屈折望遠鏡の様な、まん丸の星像にはなりませんけど・・・私的には満足のいく結果です。
 
この日は、ひっきりなしにガスが押し寄せてきて、四苦八苦しました。何とか少しはマシな写真は、このM1(カニ星雲)だけでした。原画は、空の状態がイマイチのため少し眠たい画像だったので「Luminar Neo」の拡張機能である「スーパーシャープ処理」をしています。(また、トリミングもしています。)