高橋製作所製7×50双眼鏡アストロノーマ
 

高校生の時、お袋に買ってもらった双眼鏡です。実は、それまで私は双眼鏡を持っていませんでした。それが、1976年のウエスト彗星出現時に、双眼鏡がないことがとても残念に思えたのです。肉眼彗星は双眼鏡で見るのが一番迫力があるのかもしれないのですから。
 この双眼鏡は、IF(インディビジャルフォーカシング)タイプのため、片眼ずつピントを合わせます。防水にするにはこれが一番無理がない構造なのでしょう。中には、乾燥窒素ガスが封入されています。また、視界は7.3度と無理のない設計です。今でこそ、遙かに良い双眼鏡がいくらでもありますが、この当時は宝物でした。現在も健在です。
 でも、正直なところ、最近の高精度双眼鏡は、防水機能がありながら、CF(センターフォーカッシング)ができるので、風景も見やすいです。しかも、視野も広いですからねぇ。


ツァイス 双眼鏡ビクトリー8×56
 

 国際光器に頻繁に出入りしていた時、この機材が展示処分品として半額で売られていました。いくら半額と言ってもかなり高い。うーむ。でも、当時のグーリー社長は「抜けが違います。まるで違いますよぉ。」を連発。しばし、悩んだあげく購入してしまいました。血迷わなければ、この手の機種は絶対買えません。
 ツァイスは言うまでも無く、世界に名だたるドイツの名門光学会社。しかし、コンセプトは、「中心部が極限に見えることを目指す」といったもののようで、周辺は結構像が歪みます。
 しかし、口径は56mmもありますので、天体を見るにはとても良い双眼鏡だと思います。また、ダハプリズムを使ったCF(センターフォーカッシング)の防水タイプなので、天体だけでなく、風景を見るにも大変使いやすいものです。ただし、ちいと重いですよ。
 
 尚、写真に写っている三脚固定金具ですが、現在は巻き付けタイプのものになっています。私が持っているこの古いタイプは固定能力がイマイチですが、特に不便は感じていません。セッティングが簡単なところがとても良いです。三脚に固定すると、ブレが生じませんので、手持ちで見る時と比較して、格段に解像度があがります。実は、当初、期待したほどの見え方ではないなって思ったことがありました。それは、手ぶれのせいでした。
 
最新のモデルはVictory HT 8×54です。ショット社のHTガラスを採用しています。
 
 ★ちなみに、星空を見ることに限っては、スワロフスキーEL8.5x42 SWAROVISIONよりよく見えるように思います。そりゃ、口径が違いますから当たり前の話でしょうねぇ。


スワロフスキーEL8.5x42 SWAROVISION
 
 

 スワロフスキー、それは、女性の間ではクリスタルの方が圧倒的に有名かもしれません。
 2012年のある日、協栄産業大阪店さんにてスワロフスキー双眼鏡の展示会があるので行ってみました。新型EL 8x32 SWAROVISIONの方をメインで展示されていました。バードウォッチングにはこの大きさが手頃なんでしょうねぇ。「こんな高い双眼鏡、間違っても買えませんよ。」と言いつつも、新型ELを始め、すべての機種を見せてもらいました。
 新型ELを初めてのぞき込んだ時、「あっ!何じゃこれは?」と、しばし絶句。まさに、高橋製作所のTOA130S望遠鏡を初めて見た時のようなショックがありました。変な色がついておらず、ある意味地味な見え方。しかし、フィールドフラットナーがついて像はとても平坦。「これは、間違いなく少なくとも現時点では世界最高の双眼鏡だ。」一つ前のタイプの光学系と基本同じなのでしょうが、アイレンズが大きくなり、アイリリーフも20mmとなり、めがねをかけたままでもとても覗きやすいのです。たかだかこの差?なのですが、別物のように良くなっています。
 
 最小口径のEL 8x32 SWAROVISIONは、昼間ならば、同じシリーズの口径42mmや口径50mmの口径と比較しても遜色ないほどの見え方をしていました。しかし、あたりが薄暗くなってくると、やはり口径が大きい方が明るさや分解能が増してきます。しかし、ツァイスの口径56mmの双眼鏡を持っているため、少しは機動性のある機種もいいなって思えてきました。また、協栄産業さんには、EL 42 SWAROVISION専用の凝った作りの三脚アダプターが少しだけ残っていたのです。とても使いやすいのですが、コストがかかりすぎるとのことでメーカーが生産を中止したアダプターです。悩んだあげく、8.5×42のものを買いました。勿論、その三脚アダプターも一緒にです。このアダプター、難点がないわけではありません。一端固定するとPD(瞳孔間距離)を調整出来なくなるのです。従って、一人で見る時には、全く問題ないのですが、複数の人にお見せするのには、結構不便です。
 
 ツァイスのビクトリー8×56と比較すると、意外にも?天体の見え味は落ちるような気もします。まあ、口径がだいぶ違いますからねぇ。しかし、周辺までほとんどひずみのない像。これは、すごい。
 
 他社が、設計通りに製造できているかを重視しているのに、スワロフスキーは、実際にアルプス(スイスとか、オーストリアとかですかね?)で野鳥を見て、見え味を確認し、改良しているのだそうです。(確か、そんな話を聞いたような・・・)レンズ素材自体は、日本メーカーのもではないかという話を聞いたこともありますが、(違っていたらごめん臭い。ショット社製だったりして・・・)コーティングの良さなのか、微妙なグラデュエーションが実によく見えます。バードウォッチャーに絶大な人気があるのが分かります。何でも、ここまでの商品を世に送るために、技術者の育成に10年の月日を要したのだそうです。
 
 ところで、ある珍しい野鳥をすぐに見つけられた人に「何故、そんなに簡単に見つけられたのですか?」と質問された人がいました。「だって、スワロスキーですから。」との返答が。あらら、そんなにすごい光学系だったのですねぇ。
 
 繰り返しになりますが、この機種は、中心部も周辺像も最高の見え方をします。しかし、ちょっと変な見え方に感じることも。それは、フィールドフラットナーのせいで、近景が平面のようにベターっとした見え方になることです。それは、まるで、3Dが2Dになったような。
 
 (現在は、同規格の最新商品として、「Swarovski NL PURE 8.x42」が発売されております。「実施界が20%アップ。更に美しくシャープになった視界。」げな。協栄産業さんの販売価格は、税込みで475,200円げな。誰が買えるかー!!)最近の円高で、価格が高騰していますのね。
 更に「EL RANGE 8x42TA」なるEL Range TA(トラッキング・アシスタント)がついたものは、税込 574,200円となっております。(協栄産業さんの価格)誰が買えるかー?!
 
)スワロフスキー社の双眼鏡にも、いろいろな種類があります。しかし、この機種は特別です。見比べてしまったのが運の尽き。この機種だからこそ買ってしまいました。価格もとっても高いのですが、一生物ですよ。と言っても、そんなに余生は長くないとは思いますが。おほほ。